土地を売却した時に利用できる特別控除とは
不動産の中でも土地の売買には大きな金額の税金が発生するため、受けられる控除があれば活用したいものですね。土地の売却にかかわる税金の控除にはさまざまな種類があり、うまく活用できれば譲渡所得を抑えることが可能です。ここでは居住用財産を売却する際に特別控除を利用できる要件やそれ以外のさまざまな特別控除についてご紹介します。
3,000万円の特別控除を利用できるケースとは
3,000万円特別控除とは、不動産の売却益に対して3,000万円まで課税対象から差し引ける制度です。もし売却益が3,000万円以下の場合には税金はゼロとなり支払う必要がありません。ゼロにならない場合でもかなり節税できます。
では、どのような場合にこの制度が利用できるのでしょうか。
居住用財産
マイホームを売却した場合には、所有期間が長くても短くても関係なく譲渡所得から3,000万円減額が可能です。原則、土地の売却では利用できませんが、マイホームを取り壊したあとの土地であれば使うことができます。何年以上住んでいなければならないという条件はないので、マイホームを売却する際には忘れずに適用しましょう。特別控除を活用して税額がゼロになった場合も含めて、確定申告が必須となります。
10年超所有
家が取り壊された年の1月1日時点で所有期間が10年以上の場合には、所有期間5年超で適用される長期譲渡所得よりも低い税額で算出可能です。この特例は居住用財産の特別控除と併用できますので、10年以上住んでいた土地を売約する際には両方が適用できるか確認しましょう。
相続空き家
相続した空き家の場合、取り壊して土地として売却しても要件を満たせば特別控除が適用できます。相続した実家を売却した場合は適用要件を満たしているか必ず確認しましょう。居住用財産の減額より要件は厳しいですが、合致する場合には積極的に利用しましょう。10年超所有の軽減税率とは併用できません。
3,000万円の特別控除を利用できる条件をチェックしてみよう
それぞれのケースで適用するためにいくつかの要件があります。特別控除を適用するためには確定申告が必要です。減額の適用後、税金がゼロになった場合でも必ず行わなければならないので忘れずに手続きを行いましょう。
居住用財産
・居住用不動産
自分が住んでいる家もしくは、家屋+土地を売却した場合が前提となります。一時的な仮住まいや別荘として住んでいた場合には対象外となります。また、退去後3年経過した場合には対象外となります。
・取り壊した場合
住んでいた家屋を取り壊した場合には、その日から1年以内に譲渡締結している・退去してから3年経過する日が属する年の12月31日までに売却する・譲渡締結日まで貸駐車場などほかの用途で使用していないことが要件となります。
・売った相手
親子や夫婦などに売却していないことが要件です。
相続空き家
・被相続人が住んでいた
亡くなった人が相続開始直前まで住んでいなければいけません。ただし、老人ホームなどの施設に入所していた場合には適用対象となります。
・譲渡価格
譲渡価格が1億円超の場合、この特例は適用不可となります。
・家屋の条件
古い空き家の増加防止のために作られた制度なので、1981年5月31日以前に建てられた家屋であること、一定の耐震基準を満たしていることが条件とされています。新しい家屋を相続した場合や区分所有に該当する集合住宅も対象外となります。
・売却時の条件
相続から譲渡までの間に、事業や貸付、居住などいずれの用途でも使用されていないことが要件となります。
・売却期限
相続を開始した日から3年目の12月31日までに売ること、たとえば2018年3月1日に相続開始の場合2021年12月31日までに売却した場合のみ対象となります。4年以上経ってしまうと適用できないので、実家を相続して売却を考えている場合なるべく早めに手続きを行うことをおすすめします。
さまざまな特別控除が用意されている
3,000万円の特別控除以外にも土地売却に関する控除がいくつかあります。それぞれ要件がことなるため適用条件を確認しておきましょう。
1,000万円特別控除
2010年または2011年に取得した土地を2015年または2016年以降に譲渡した場合に最大1,000万円の減額が可能です。
5,000万円特別控除
公共事業のために土地や建物を売却した場合には5,000万円減額できますが、譲渡が2年以上にわたった場合でも初年度のみ適用されます。
2,000万円特別控除
個人の所有する土地を国土交通省のまちづくり活性事業などに利用するために売却した場合は2,000万円まで減額が可能です。
1,500万円特別控除
地方住宅供給公社や住宅地造成、航空会社などによって買い取られた土地や土地収用法などに基づいて買収された場合などには、1,500万円まで減額できます。
まとめ
3,000万円の特別控除などを利用した場合、控除後に課税額がゼロになることも少なくありませんが、その場合でも確定申告は必ず必要です。いくつかご紹介した特例の中でも、併用できるものやできないものがあるため、特例の要件を満たしているかどうかだけでなく併用できるかどうかについても確認しながら税金控除を活用しましょう。